最初に、全産業の倒産件数と、その中で建設業の倒産がどのくらいの割合を占めているのかを見よう。建設業の倒産は、全産業倒産件数の三分の一から四分の一を占めており、はなはだ不安定な経営と言わざるを得ない。さらに二、三の問題を考えてみると、五五年は公共事業費の伸び率がゼロになった年、五七年は第二次石油ショックのあと、六〇年は円高不況に入った年というように、いずれも不況到来のときは、むしろ倒産が少なく、その前後のほうが多い。
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これは倒産の遅行性を表している。企業は、不況になったからといってすぐにツブレルものではない。苦しくなれば、まず値引き競争から始まって、支払サイトの延長、運転資金の借入れなど、まともな方法から、だんだん高利の金の借入れ、資産の売却、融通手形の発行へとエスカレートしていって、銀行から見放されるまで、断末魔の苦しみを味わいながらも生きつづけようとするものである。特に建設業では、不況時の経済対策のひとつとして増額される公共事業費の恩恵を受けることができる。したがって建設業では、不景気イコール自分たちも苦しいという短絡的発想に陥らないように気をつけなければならない。むしろ逆である。今回の好況はすでに民間設備投資が主力となっている。これは公共工事主体の建設会社には縁がないことなので、十分な注意が必要であり、また、史上空前の好況では、すでに人手不足倒産がおこり出したことにも留意せねばならない。